マグナリウム粉(Al−Mg粉)を使った研究

〜ダクテッドロケットの燃焼に関する研究〜

日本大学大学院 理工学研究科 航空宇宙工学専攻 桑原・田辺研究室 大淵健郎様

ダクテッドロケットは,超音速飛行により発生する衝撃波を用いて空気を圧縮するため
超音速飛行時に性能を発揮します。したがって,飛翔中に多大な抗力が機体に作用し,
この抗力に打ち勝つ推力が要求されます。そこで,高エネルギーの物質であるホウ素
を燃料成分に添加することが有望視されています。しかし,ホウ素は着火性が悪く,
二次燃焼器内での着火・燃焼が難しいという欠点があります。
そこで,着火性の優れた金属粒子をさらにガスジェネレータに添加することによる二次
燃焼器でのホウ素粒子の着火・燃焼の促進について本研究室では研究を行っています 。
私は,添加金属に求められる性質として,着火性に優れること,酸素との燃焼熱が高く
二次燃焼器内温度の高温化を望めることを考慮し,これらの性質を有したマグナリウム
(Mg-Al)に着目しました。
Mg-Alはマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)の合金で,その融点は低く,酸化雰囲気で
は固体燃料の燃焼表面において融解し,表面離脱後まもなく着火することが報告されて
います。したがって,ダクテッドロケットにおいては,高温の一次燃焼器において融解した
Mg-Alが二次燃焼器で早期に着火し,高温領域を形成することにより,ホウ素粒子の着火・
燃焼を促進できるものと考えました。実験で使用したMg-Alは株式会社関東金属様に提供
していただきました。
私たちは,図に示す直結燃焼型ダクテッドロケット(実験装置)を用いて,燃焼効率の面から
Mg-Alを添加することによるホウ素の着火促進効果を評価しています。これまでに,ホウ素
Mg-Alをガスジェネレータに添加することにより,ホウ素のみの添加時より燃焼効率が向上
することがわかっています。